外国人労働者、初の200万人超 「特定技能」伸びけん引

厚生労働省は26日、日本で働く外国人の数が2023年10月時点で204万8675人だったと発表した。前年から22万5950人増え、初めて200万人を超えた。伸び率は12.4%で6.9ポイント上昇した。新型コロナウイルスの影響による入国制限が緩和され、感染拡大前の水準に回復した。

国籍別ではベトナムが最多の51万8364人で全体の25.3%を占めた。次いで中国が39万7918人、フィリピンが22万6846人だった。

在留資格別に増加率をみると、特定技能や高度人材を含む「専門的・技術的分野」が最も伸び、24.2%増の59万5904人だった。

なかでも特定技能(13万8518人)の伸び率は75.2%と顕著だった。そのうちベトナムが6万9462人、インドネシアが2万5589人を占めた。インドネシアの場合、特定技能が前年比で2倍以上に増え、同国からの労働者全体の伸び率も56.0%と国籍別で最も高くなった。

特定技能は技能試験や日本語試験の合格などを条件に、人手不足が深刻な業種で就労を認める仕組みだ。飲食料品製造業、機械・電気といった製造業、介護などの分野で働く人が多い。

高度人材は研究者や技術者、経営者などが対象で、職歴や年収で判断して認定されれば在留管理上の優遇措置が受けられる。

円安に伴って日本で働く魅力は薄れるとの見方もあったが、引き続き右肩上がりで増えている。主な要因は送り出す側の国と日本の賃金格差が依然大きいことだ。最大の送り出し国であるベトナムは22年の平均賃金が月320㌦(およそ4万7300円)にとどまる。

政治や経済の混乱が影響している例もある。21年のクーデターで国軍が全権を掌握し市民弾圧が続くミャンマーの出身者は前年比49.9%増となった。

国際通貨基金(IMF)は1人当たり国内総生産(GDP)が7000ドル程度になるまで先進国への移住は増えると指摘する。ベトナムは22年に4163ドル、インドネシアは4788ドルで、それぞれ7000ドルを大きく下回る。就労目的の来日は引き続き高水準で推移することが見込まれる。

高度人材などは家族帯同が認められている。在留資格「家族滞在」の外国人は23年6月時点で24万5000人と、この10年で2倍に増えた。

文部科学省は外国出身の子どもらを対象に、通常授業に代えて日本語を教える仕組みを14年に導入した。21年度の調査では対象の子どもの2割超が教員不足などで受けられていなかった。

NPO関係者は「23年後半から支援が必要な子どもが増えており、学校も民間団体も手いっぱいだ」と訴える。

政府は23年6月、特定技能のうち家族帯同が可能な「2号」の対象分野を2分野から11分野に広げた。来日する労働者やその家族のさらなる増加が見込まれるなかで教育環境など受け皿の整備が急務となる。

参考元:外国人労働者、初の200万人超 「特定技能」伸びけん引 – 日本経済新聞 (nikkei.com)

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